みにくいあひるの子
おはなしのあらすじ
お母さんあひるのたまごがかえりますが、いちばん最後に生まれた子だけ、みんなと姿がちがっていました。さみしくなって旅に出た子は、秋と冬をすごし、春にきれいな湖で うれしい出会いをします。

むかしむかし、あたたかい なつの ひのこと。いけの ほとりの すで、おかあさん あひるが たまごを あたためていました。たまごが かえるのを、いまか いまかと まっていたのです。
ぴしっ、ぴしっ、ぴしっ。たまごから、きいろい ふわふわの あひるの こが でてきました。また ひとり、また ひとり。「ぴよ ぴよ!」
でも、たまごが ひとつ、まだ のこっていました。いちばん おおきな たまごです。おかあさん あひるは、すわって、すわって、すわって……。とうとう、ぱかん!ころりと でてきたのは、おおきくて、はいいろで、ぼさぼさの ちいさな とりでした。

「あらあら。ほかの こたちとは ちがうわねえ。でも、およぐのは とても じょうずだわ!」
ほんとうに そのとおりでした。はいいろの こは、みんなの いちばん うしろで、すいすい じょうずに およぎました。
でも、にわの どうぶつたちは、この こを わらいました。
「なんて おおきくて、みにくい あひるの こ!」と、にわとりたち。
「ほら、あの ながい くび!」と、がちょうたち。
きょうだいたちまで、「あっちへ いってよ、へんな はいいろ」と いいました。
ちいさな はいいろの とりは、かなしくて、かなしくて、たまりませんでした。

「ぼくなんか、だれも いてほしくないんだ」
そう おもった はいいろの とりは、あるばん、せの たかい あしの あいだを そっと ぬけだしました。
あるいて、あるいて、あるいて、のうじょうは、とおく とおく うしろに なりました。
やがて、のがもの すむ ひろい ぬまに つきました。
「おまえは ずいぶん みにくいね」と、のがもたち。「でも、わたしたちの じゃまを しないなら、ここに いても いいよ」
それから はいいろの とりは、みずべの しずかな すみっこで、ひとりぼっちで すごしました。

あきが きました。はっぱは きんいろや あかいろに かわり、かぜが つめたく ふいています。
あるゆうがた、はいいろの とりは、すてきな ものを みました。おおきな しろい とりの むれが、そらを わたっていくのです。ながくて しなやかな くび。きらきら ひかる しろい つばさ。
「ああ……なんて きれいなんだろう」
ちいさな とりは、くびを ぐーんと のばして、いつまでも みあげました。すると、むねの なかが ふしぎに ぽかぽか あたたかく なりました。まるで、あの とりたちを ずっと まえから しっているような きもちでした。

やがて、ふゆが やってきました。さむくて、まっしろな ふゆです。いけには こおりが はり、はいいろの とりは、ぶるぶる ふるえました。
そこへ、やさしい おじさんが とおりかかり、ゆきの なかで ふるえている ちいさな とりを みつけました。
「かわいそうに。さむかったろうね」
おじさんは、とりを マフラーで そっと くるんで、うちへ つれて かえりました。
おじさんの こどもたちは、ストーブの そばに あたたかい はこを つくり、おわんに たべものを いれて くれました。
はいいろの とりは、そこで ふゆの あいだじゅう、ぱちぱちと もえる ひの おとを ききながら、ゆっくり やすみました。

ようやく、はるが かえってきました。おひさまは ぽかぽか、おはなが ぱっと ひらきました。
はいいろの とりは、すっかり おおきくなって、つばさにも ちからが みなぎっています。
「たいせつに してくれて、ありがとう」
こどもたちに、そう いっているようでした。
こどもたちが とを あけてくれました。とりは つばさを ひろげて、ばさばさっ、ぱあっと とびたちました。いままでで いちばん たかく、みどりの のはらを こえて、すんだ あおい みずうみの ある、すてきな おにわまで とんでいきました。

みずうみには、しろくて うつくしい はくちょうが さんわ、およいでいました。
「きっと、わらわれるよ」
はいいろの とりは そう おもって、かおを ひくく ひくく みずに ちかづけました。
ところが、みずの なかに みえたのは……?もう、ぼさぼさの はいいろの とりでは ありません。そこに いたのは、はくちょうです!ながくて しなやかな くびの、まっしろで うつくしい はくちょうでした。
さんわの はくちょうが すいーっと ちかづいてきて、くちばしで そっと なでてくれました。
「ようこそ、おとうと」
「ずっと きみを まっていたんだよ」

みずうみに、こどもたちが やってきました。
「みて!あたらしい はくちょうが いるよ!いちばん きれいだね!」
わかい はくちょうは、はずかしくて、でも、とっても とっても うれしくなりました。
だれも いてほしいと いってくれなかった、ちいさな はいいろの とりだった ころを おもいだしました。いまは、かぞくが います。ともだちが います。そして、どこまでも ひろい そらが あります。
「みにくい あひるの こだった ころには、こんな しあわせが くるなんて、ゆめにも おもわなかったなあ」
はくちょうは、ゆうひで きんいろに ひかる みずうみを、すーい すーいと すべっていきました。おひさまが、ゆっくり しずんでいきます。
おやすみなさい。
このおはなしから学べること
だれにでもやさしくしよう。そのままのきみが、すてきなんだよ。
こんな年齢におすすめ: 3〜8歳
やさしいくり返しの場面と あたたかい結末で、3歳から8歳の子が安心して眠りにつけます。
このおはなしのふるさと
Den grimme Ælling — Hans Christian Andersen, c. 1843. Lullaquillが、おやすみ前向けに新しく語り直しました。著作権の切れた昔話をもとにした、オリジナルの文章です。
今夜のおはなしの主人公を、お子さまに
Lullaquillアプリに、お子さまの名前と好きなものをいくつか入力してください。お子さまが主人公の、穏やかでやさしいおやすみ前のおはなしを、絵とやすらぐ声でお届けします。
ナイトキャップをかぶったうさぎのルナが、毎晩おはなしを読んでくれます。
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