うさぎと かめ
おはなしのあらすじ
足の速いうさぎが、ゆっくり歩くかめをからかいます。かめはかけっこを申し込み、うさぎは先に走って少しお昼寝。かめは休まず一歩ずつ進みます。最後は二人が仲よしになる、やさしいお話です。

みどりの のはらに、とっても とっても あしの はやい うさぎが すんでいました。ぴゅーん! のはらの はしから はしまで、なまえを よぶ あいだに はしって いけるのです。うさぎは、それを みんなに じまんするのが すきでした。あるはれた あさ、かめさんが のっそり のっそり やってきました。のそ…のそ…のそ…。うさぎは わらいました。「かめさん、おはよう! どこかへ いくのかい? そんなに ゆっくりじゃ、らいしゅうに やっと つくよ!」

かめさんは おこりませんでした。にっこり わらって いいました。「わたしは ゆっくりだけど、いつだって めざすところへ ちゃんと つくのよ。そうだ、うさぎさん、わたしと かけっこしましょう。」うさぎは おなかを かかえて わらって、くさの うえに ごろんと ころがりました。「きみが? ぼくと かけっこ? あはは!」どうぶつたちが みんな あつまってきました。「かけっこだ! かけっこだ!」と、ことりたちが ちゅんちゅん さえずります。「いいとも」と うさぎは いいました。「あしたの あさ。おおきな かしのきから、おかの うえの かざぐるままで だよ。」

つぎの あさ、みんなが おうえんに きました。ものしりの ふくろうおじいさんが、はっぱを たかく あげました。「よーい…どん!」びゅん! うさぎは やのように とびだしました。あまりの はやさに、うしろで ほこりが ぱあっと まいあがります。かめさんは、ひとあし まえに だして、また ひとあし。のそ…のそ…のそ…。「かめさん、がんばれー!」と、こうさぎたちが こえを かけます。まもなく うさぎは、とおくの ちいさな ぽちに なりました。かめさんは まだ、かしのきの すぐ ちかくです。

かざぐるままで はんぶんの ところで、うさぎは うしろを ふりかえりました。かめさんの すがたは どこにも みえません。「はは! かんたん、かんたん。かめさんが くるのは、まだまだ ずっと さきさ。ちょっと ひとやすみ しよう。」うさぎは、かげの すずしい りんごの きの したに ごろり。くさは ふかふか。みつばちは ぶんぶん。おひさまは ぽかぽか。「ほんの ちょっと ひとねむり」と いって、うさぎは おおきな おおきな あくびを ひとつ。そして すぐに、すうすう ねいきを たてて ぐっすり ねむって しまいました。

そのころ かめさんは、すすみつづけて いました。のそ…のそ…のそ…。はしらないけれど、とまりもしません。いけの そばを とおると、かえるたちが「がんばれ!」。おはなばたけを とおると、ちょうちょたちが「できるよ!」。あしは くたくた。でも、かめさんは じぶんに いいきかせます。「ゆっくり、こつこつ。ゆっくり、こつこつ。」そして、いっぽ いっぽ、おかを のぼって、りんごの きの ところまで やってきました。

そこには、ぐっすり ねている うさぎが いました。はなの うえには ちょうちょが ちょこんと とまっています。かめさんは、うさぎを おこしませんでした。わらいも しませんでした。ただ そうっと とおりすぎました。のそ…のそ…のそ…。おかを のぼって、かざぐるままで もう すこし、もう すこし。ゴールで まっている どうぶつたちは、じぶんの めを うたがいました。「かめさんだ!」と ひそひそごえ。「かめさんが きたよ!」

やっと、うさぎは めを さましました。うーんと のびを して、そらを みあげます。おひさまが しずみかけて いる! 「たいへんだ!」うさぎは とびおきて、ながい あしで ありったけ はしりました。ぴゅん、ぴゅん、ぴゅーん! でも、まにあいませんでした。うさぎが おかの てっぺんに ついた ちょうど その とき、かめさんが かざぐるまの ゴールを、のそっと こえたのです。みんなは かんせいを あげました。「かめさん、ばんざーい!」

うさぎは はあはあ ぜえぜえ。ちょっぴり はずかしく なりました。それから、そっと てを さしだしました。「おめでとう、かめさん。ほんとうに きみの かちだよ。」「ありがとう」と、かめさんは やさしく いいました。「うさぎさんは わたしより ずっと はやいわ。でも、うさぎさんは とまって、わたしは すすみつづけたの。」その ひから、うさぎは もう、じまんを しなくなりました。そして かめさんと なかよしになって、ふたりで たくさんの ゆうやけを いっしょに みました。ゆっくり、こつこつ。おやすみなさい。
このおはなしから学べること
ゆっくりでも、こつこつ進めば ゴールに つけるよ。
こんな年齢におすすめ: 3〜8歳
くり返しの音と おだやかな結末で、3〜8歳の寝る前に ぴったりです。
このおはなしのふるさと
The Tortoise and the Hare (Perry Index 226) — Aesop, 550 BCE. Lullaquillが、おやすみ前向けに新しく語り直しました。著作権の切れた昔話をもとにした、オリジナルの文章です。
今夜のおはなしの主人公を、お子さまに
Lullaquillアプリに、お子さまの名前と好きなものをいくつか入力してください。お子さまが主人公の、穏やかでやさしいおやすみ前のおはなしを、絵とやすらぐ声でお届けします。
ナイトキャップをかぶったうさぎのルナが、毎晩おはなしを読んでくれます。
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